第39回 第4回定期演奏会選曲コンセプト
「J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズ」
この度の第4回定期演奏会はSalicus Kammerchor立ち上げ当初からの演奏会シリーズ「J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズ」の第4回目です。
これまでの演奏会シリーズでは、毎回1-2曲のバッハのモテットを演奏してきました。
第1回定期演奏会
「主に向かって新しい歌を歌え」 BWV 225
"Singet dem Herrn ein neues Lied" BWV 225
第2回定期演奏会
「来給え、イエスよ、来給え」BWV 229
“Komm, Jesu, komm” BWV 229
「恐れるな、我はともにあり」BWV 228
“Fürchte dich nicht, ich bin bei dir” BWV 228
第3回定期演奏会
「諸国よ主をほめ讃えよ」 BWV 230
"Lobet den Herrn, alle Heiden" BWV 230
「御霊は我らの弱きを強め給う」 BWV 226
"Der Geist hilft unser Schwachheit auf"BWV 226
そして第4回の今回、最後の1曲「イエス、我が喜び」 BWV 227に挑みます。来年の第5回定期演奏会では、この演奏会シリーズの総まとめとして「J. S. バッハのモテット全曲演奏会」を企画、そして結成当初からの大きな目標である「全曲録音」を予定しています。
(19世紀前半に書かれた筆写譜)
メインプログラム モテット「イエス、我が喜び」 BWV 227
今回メインプログラムとしたモテット「イエス、我が喜び」は他のバッハのモテットとくらべて、編成は5声と小さめ(他のモテットはBWV 230を除いて8声)ですが、演奏時間の長さとしては最大規模ですし、その内容からも、彼の最高傑作モテットと言って差し支えない作品です。
テキストの選び方、その配置方法、それに対応した完全にシンメトリックな構成、声部の選び方、コラール編曲の多彩さなど、どれをとっても非の打ち所がありません。
この企画発案当初から、この作品を最後に演奏するということは決めていました。まさにラスボス!私にとっても、ミサ曲ロ短調と並ぶほど、物凄く大きな作品です。
(1596年に出版されたパレストリーナのミサ曲集第1集より)
前半プログラム はじめての取り組み
今回はこのバッハの最高傑作モテットをメインプログラムに、前半のプログラムは例年通りグレゴリオ聖歌、ルネサンス期のポリフォニー、初期バロックのモテットを配置いたしました。
【いつもの流れ】
グレゴリオ聖歌→フランドルのポリフォニー→初期バロック→J. S. バッハ
流れ自体はいつもの流れなのですが、今回のプログラムには、Salicus Kammerchorとしてはじめての取り組みが2つあります。
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ひとつは、通作ミサ曲を全楽章演奏するということです。一昨年のLa Musica Collanaとのジョイントコンサートで、今回演奏するパレストリーナのミサ《シネ・ノミネ》を演奏いたしましたが、この時はキリエとグロリアのみの演奏でした(バッハが編曲、演奏したバージョンでの演奏で、彼が演奏した形跡があるのがこの部分のみだったためです)。
今回はパレストリーナのオリジナルに近い形で、グレゴリオ聖歌の固有唱とともに、典礼の流れに則って演奏いたします。ちなみにミサの固有唱を全て歌うということも初めてなので、いつもよりグレゴリオ聖歌の分量が倍くらいに増えます。いつもより沢山グレゴリオ聖歌が聞ける!というのも今回のプログラムの推しポイントです。
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もうひとつの新しい取り組みは、バッハの親族の葬送モテットを演奏するということです。バッハは一族のレパートリーを、Altbachisches Archiv(古いバッハ家の史料集)と呼ばれる曲集にまとめ、非常に大事にしていました。これらの作品はバッハの創作に直接的に影響を与えています。
今回演奏するのは3人、ヨハン・バッハ(1604-1673)、ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703)、ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694)です。ヨハン・バッハはヨハン・ゼバスティアンの祖父クリストフの兄、ヨハン・クリストフとヨハン・ミヒャエルは祖父の弟の息子兄弟、すなわちヨハン・ゼバスティアンの父ヨハン・アンブロジウス(1645-1695)から見ると、従兄弟ということになります。
(古いバッハ家の史料集より)
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これまでは、テキストや演奏機会に注目して、バッハ以前の作曲家の作品を選曲してきました。同じテーマ、同じテキストで作曲された作品を選曲することで、バッハへ至る音楽史の流れを感じようという試みです。
これはある意味では間接的にバッハに影響を及ぼしていると思われる作品を演奏するということでした。今回はより直接的に、バッハの筆写したパレストリーナのミサ、バッハ一族のモテットを演奏することで、バッハの音楽的背景に迫っていけると考えています。
パレストリーナは言わずもがなですが、あまり演奏される機会のないバッハの親族の作品も本当に素晴らしい作品ばかりです。バッハ家のDNAをビシビシ感じます。創意工夫に溢れ、天才の閃きを随所に感じることの出来る作品たちです。
日本では生で聞く機会はなかなかないので、ぜひこの機会に体験いただければと思います。
演奏会詳細↓
次回から数回に分けて、今回のプログラムについて解説していきます。
お付き合いくだされば幸いです。
どうぞお楽しみに!
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【Salicus Kammerchor第4回定期演奏会】
5月20日(日)14:00開演@台東区生涯学習センター ミレニアムホール
5月23日(水)19:00開演@豊洲シビックセンター ホール
詳細はコチラ↓
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【最新動画公開中!】
Ensemble Salicusレクチャーコンサートからジョスカン・デ・プレ「主よ、我らの主よ」をアップしました!
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【主宰の櫻井元希のウェブサイトはコチラ↓】