第53回 教会カンタータに綴られた物語3
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3回目となる今回はBWV78のテキストについてです。
カンタータ第78番「イエス、あなたは私の魂を」 BWV 78
Kantate Nr. 78 „Jesu, der du meine Seele” BWV 78
J. S. バッハのカンタータの中でも最も有名な作品の一つです。
この日読まれた福音書の内容は、病人をイエスが奇跡によって癒やすという部分で、これをカンタータでは発展的に解釈し、人間が生まれながらに持っている罪の赦しについて説いていきます。
このカンタータは典型的なコラールカンタータで、冒頭合唱と終曲がコラールのそのままの引用、中間楽章はコラールの内容を説明するような内容になっています。
冒頭合唱はコラールの第1節、罪の赦しがイエスの酷い死によってもたらされたということに想いを馳せる沈痛な曲調です。
第2曲はソプラノとアルトの二重唱で、病める人、また迷う人を助けるイエスのもとへ、急いで行こうと語りかけます。
第3曲のテノールレチタティーヴォはとても長く、コラール3.4.5節のテキストを引用しながら、自分の罪が如何に重いか、狼狽する心を表現しています。それに対するアンサーとなっているのが4曲目のアリアで、そのような罪をもイエスはその血によって消し去ってくださるという、絶対の信頼を歌います。
続くバスレチタティーヴォも大変長く、イエスの受難について滔々と語ります。このレチタティーヴォの最後の部分はコラール第10節の引用で、自らの心にイエスの血を注ぎ、それをイエスに捧げるというなかなかグロテスクですが、切実で神秘的な表現となっています。第6曲バスアリアはやはり前曲レチタティーヴォへの答えのような内容で、受難による救いの確信と希望を歌います。
終曲はコラールの最終節で、自らの死後、永遠の生命をイエスのもとで得られるのだという安心感のうちに幕を閉じます。
救いと受難というテーマの提示(第1曲)され、イエスのもとへ急ぎ(第2曲)、自らの罪に絶望しながらも(第3曲)イエスによる救いがあるのだという確信(第4曲)があり、再び受難に想いをめぐらしながらも(第5曲)その受難が希望となるのだと説き(第6曲)、安らぎへと至る(第7曲)。
というのがおおまかな流れになろうかと思います。3・4曲、5・6曲がペアになっているのが特徴ですね。この部分が同じ声種によるレチタティーヴォとアリアの組み合わせというのもバッハの意図を感じるところです。
この大きな流れを感じつつ、細部にまで行き届いたJ. S. バッハの緻密な音楽をお楽しみください!
BWV78対訳
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